2026年9月3日、東京高裁は茨城県神栖市長の木内敏之氏の当選を無効とする判決を言い渡しました。
今回の裁判では、市長選で投じられた「まんじゅうや」「だんごさん」という2票の効力が争点となりました。
東京高裁は市内に主な和菓子屋が9軒あることなどから記載票を無効と判断し、木内氏は不満をあらわにしています。
木内敏之氏は老舗和菓子店の息子として育ち、町議や市議を長年務めてきた経歴を持ちます。
約28年間にわたる議員活動を経て、なぜ市議から市長へ挑むことになったのでしょうか。
本記事では、木内氏の歩んできた経歴や市長へ出馬した背景、そして今回の当選無効判決までの経緯を詳しく解説します。
木内敏之氏の市長当選を取り消し東京高裁が「まんじゅうや」など2票を無効と認定
2026年9月3日、東京高裁は茨城県神栖市長である木内敏之氏の当選を無効とする判決を下しました。
問題となったのは、市長選の開票時に木内氏の得票として扱われた「まんじゅうや」「だんごさん」と書かれた2枚の投票用紙です。
東京高裁は「木内氏であることが明らかとはいえない」と判定し、木内氏側の請求を退けました。
判決の背景には、神栖市内にまんじゅうや団子を取り扱う主な和菓子店が少なくとも9軒存在するという実態があります。
裁判所は、「まんじゅうや」などの呼称が市内全域で慣習的に木内氏個人だけを指すものとして定着していたとまでは言えないと判断しました。
この結果、該当する2票は無効票として扱われることになり、選挙結果に影響を及ぼす事態となりました。
判決を受け、木内敏之氏は記者会見を開き、自身の主張が認められなかったことに対して遺憾の意を表明しました。
木内氏は生まれた時から和菓子店の息子として育ち、地域で「木内」ではなく「まんじゅうや」と呼ばれてきた日常的な背景を強調しています。

まず、私たちの主張がまったく通らなかったことは残念ですし、遺憾に思っています。私は生まれた時から和菓子店の息子。小さい時は、和菓子店は私のところ1軒だった。他に和菓子店のなかで立候補している人は誰もいません
一方、対立候補であった前市長の石田進氏は、東京高裁および県選管の判断を順当なものと受け止めるコメントを出しています。

一部では『まんじゅうやさん』はわかるかもしれない。ただ、多くの人が、名前に代わるものとして、理解しているかというとそういうことはない。どうして神栖市の選挙管理委員会が『まんじゅう』『だんご』で(票を)有効にしたのか、非常に不透明 引用;日テレNEWS
木内敏之の経歴と28年間にわたる地方議員から神栖市長へ挑んだ背景
木内敏之・基本プロフィール・学歴
- 生年月日: 1961年(昭和36年)3月29日生まれ
- 出身地: 茨城県神栖市(旧神栖村)萩原
- 学歴: 神栖市立神栖第一中学校を経て、茨城県立波崎高等学校を卒業
- 大学・最終学歴: 大学への進学実績や詳細な最終学歴については、公表されているプロフィール等では確認されていません
- 職歴: 実家の和菓子製造会社や会社役員に携わってきました
地方議員としての政治キャリア(28年間)
- 町議初当選: 1996年3月、当時の神栖町議会議員に初当選し活動を開始
- 市議へ移行: 町議を3期務めた後、2005年8月の市制施行に伴い神栖市議会議員へ移行
- 議員活動の実績: 通算で7期(市議としては5期)28年間にわたり議員活動を継続
- 主な役職: 都市建設常任委員会委員長や文教常任委員会委員長などを歴任し、2014年3月には第22代神栖市議会議長に就任
市長選への出馬と経緯
- 市議からの転身: 2024年の市議選には立候補せず、市政のトップとして課題に取り組むべく市長選への立候補を決意
- 出馬の理由: 経常収支比率の悪化や市債残高の増加といった市政の財政状況への危機感や、「市民第一」の行政への転換を訴求
- 選挙結果: 前市長の石田進氏との一騎打ちとなり、得票数が「1万6724票」で同数となったため、公職選挙法に基づく“くじ引き”によって当選を果たしていました
今後の司法手続きと神栖市政の決着に向けた見通し
東京高裁による当選無効の判決を受け、木内敏之氏が最高裁判所へ上告するかどうかが今後の大きな焦点となります。
会見において木内氏は、判決内容に納得がいかない姿勢を示しつつ、上告の検討を進める意向を明らかにしました。
実際に上告を行うかどうかの最終決定や、最高裁へ提出する日程等については、現時点で確認されていません。
仮に木内氏が上告を行わなかった場合、または上告が退けられた場合には、無効とされた2票を除外した得票数が確定します。
その場合、石田進氏の得票数が木内氏を上回ることになり、首長の座が逆転する見通しとなります。
現時点で、木内氏が市庁舎を退去する具体的な日程や、市長職を失職する手続きの時期については確認されていません。
一方、石田進氏は「早く復帰して、1票でも上回った市長が、説明責任を果たして市政を進めてまいりたい」と表明しています。
神栖市選挙管理委員会による今後の事務手続きのスケジュールや、再裁決に関する明確な日程も確認されていません。
1票の重みと手書き票の有効性をめぐる今回の異例の事態は、今後の司法判断の経過とともに神栖市政の行方に大きな影響を与えています。
今後の見通し
2票が無効と確定した場合、石田氏の得票数が木内氏を上回ることになり、首長の座が逆転することになります。
木内市長側は判決を不服とし、最高裁判所へ上告する方針を含めて検討を進めています。
司法判断の最終決着がどこに着地するのか、神栖市政の行方に注目が集まっています。

